1  糖尿病(とうにょうびょう)って?
2  糖尿病とはどんな病気か
3  糖尿病の原因
4  糖尿病の種類
5  糖尿病の症状



1  糖尿病(とうにょうびょう)って?
「糖尿病って病名を知っていますか?」ほとんどの方が「知っている」と答えるはずです。それほど糖尿病は有名で患者の多い病気なのです。では「糖尿病ってどんな病気ですか?」と訊かれたらどうでしょうか。「糖尿病の人は甘いモノを控えなければいけない。」「運動をしなくてはならない」と何となく思ってはいませんか。糖尿病は有名な病気であると同時にその実状をあまりにも知られていない病気でもあるのです。

  糖尿病は現在の日本で劇的に増加している病気のひとつで、40歳以上では10人に1人、50〜60代では5.5人に1人は糖尿病であると云われています。そしてそのほとんどの人が自分が「糖尿病であることを自覚していない」のです。そう、糖尿病は「症状のない病気」なのです。腫れたり痛んだりしない病気。知らないうちに静かに進行していく大変恐ろしい病気なのです。気づいたときには重度にまで進行していることも少なくない本当に恐ろしい病気なのです。成人で失明する人の最も多い原因は糖尿病です。成人で血液透析になる人の最も多い原因も糖尿病なのです。

  糖尿病はその他、神経を冒(=おか)し、心臓や脳の血管を冒し、心筋梗塞(=しんきんこうそく)や脳梗塞などの重大な原因となるのです。このように糖尿病は、全身を冒してゆく原因となるとても危険な病気です。しかし、むやみに恐れることはありません。糖尿病は症状が少ない分、きちんと明確な意志を持ってコントロールしていれば、全く恐ろしい病気ではないのです。糖尿病をきちんとコントロールしていくためには、まず相手(=糖尿病)をよく知ることが必要です。   
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2  糖尿病とはどんな病気か
糖尿病とは「血糖値(=けっとうち)が高くなる」病気です。ではこの「血糖値」とは何でしょう?血糖値とは「血液の中に含まれるブドウ糖の割合」のことです。ヒトの体はたくさんの種類と数の細胞からできていますが、その細胞をつくる材料のひとつがブドウ糖なのです。さらにブドウ糖はエネルギー源としても活躍します。ちょうど自動車でいうガソリンがブドウ糖です。生物は体内でブドウ糖を燃やすことにより、細胞を維持するチカラ・活動するチカラを得ているのです。つまりブドウ糖は体にとって最も重要な物質のひとつなのです。
では「血糖値が高い」ということはどういう状態でしょう。血糖値は血液中のブドウ糖の割合を指すのですから、その値が高いということは「体内にブドウ糖がたくさんある」ということになり「カラダによいこと」のような気がします。しかしそれは「間違い」で逆に体にとって良くない状態なのです。血液中のブドウ糖は、血液の中にあるだけでは全く役に立ちません。血液中から細胞の中に取り込まれて、はじめてエネルギー源として使われます。「血糖値が高い」状態とは、細胞の中にうまくブドウ糖が取り込めず、血液の中にたくさんあふれているということなのです。その結果、細胞が栄養失調となり働きが悪くなってしまうのです。血糖値が高い状態=ブドウ糖が細胞に取り込めず血液中に溢れている状態=「糖尿病」ということなのです。
ではなぜ糖尿病の人は「細胞の中にブドウ糖がうまく取り込めない」のでしょうか?それには「インスリン」というホルモンが関係してきます。ブドウ糖を血液から細胞に取り込むという作業を行うのがこの「インスリン」なのです。インスリンというホルモンは膵臓(=すいぞう)の中の特別な細胞(=ランゲルハンス島β細胞と呼びます)からだけで作られ、血液中に分泌され、細胞に働きかけてブドウ糖をうまく取り込ませます。このインスリンの分泌が少なかったり、または、インスリンがうまく働いていない状態を「糖尿病」といいます。
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3  糖尿病の原因
糖尿病の原因はインスリンの分泌や働きが悪くなることです。分泌や働きのどちらかが悪くなり発病する人もいますが、大部分の人は分泌と働きの両方が悪くなって発病します。

◎インスリン分泌の低下の原因
膵臓インスリンをどれだけ作るかは生まれつきの体質(遺伝的要因)によるものが多いのですが、加齢もインスリンをつくる能力を落とす大きな原因です。また人によっては免疫システムの異常(膵臓の中のインスリンを作っている部分=ランゲルハンス島が様々な原因で障害を受け、その障害を取り除く役目をする体の中の免疫システムが間違ってランゲルハンス島を攻撃、破壊すること)によりインスリンを分泌できなくなってしまう事もあります。

◎インスリンの働きの低下の原因
運動不足や肥満はインスリンの働きを低下させます。一般的に成人に起こる糖尿病の大部分の人にインスリンの働きの低下がみられます。
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4  糖尿病の種類
糖尿病にはいろいろな種類があります。糖尿病の種類や程度により治療法が異なりますので、きちんとした診断が必要です。

 1型糖尿病 
細菌など体の中に入ってきた異物を攻撃する防御システムを「免疫」といいます。この免疫システムが異物ではなく、自分の体の一部をあやまって攻撃することを自己免疫異常といいます。1型糖尿病は、膵臓インスリンを分泌する部分=ランゲルハンス島に対する自己免疫異常で、日本人の糖尿病の2〜3%がこの1型糖尿病で、膵臓インスリンを作る部分が破壊されてしまうため、インスリンがやがてほとんど作られなくなってしまいます。この状態を「インスリン依存性糖尿病」といいます。この糖尿病の特徴は若い人や子供にも起こる事が多く、治療にはインスリンが必要です。この型の糖尿病では、自己免疫異常の為に血液中に抗GAD抗体が大量に出現し1型糖尿病の診断には抗GAD抗体の測定が用いられます。

 2型糖尿病 
遺伝的な原因により膵臓インスリンを作る細胞の働きが元々弱いところに加齢が加わり、さらにインスリン分泌が悪くなり発症します。また肥満や運動不足など生活習慣の乱れにより、インスリンの働きが悪くなること=インスリン感受性の低下も2型糖尿病発症の大きな原因です。日本人の糖尿病の90%以上がこの2型糖尿病で、生活習慣病や成人病の代表的な糖尿病です。治療は食事療法や運動療法などの生活習慣の是正のみで良好な血糖コントロールが得られる人から、飲み薬やインスリンを必要とする人まで様々です。

その他の糖尿病
膵炎や膵癌などで膵臓そのものがやられても糖尿病になることがあります。これを膵性糖尿病といいます。またクッシング症候群や褐色細胞腫などインスリン以外のホルモン分泌に異常があっても糖尿病になります。その他いろいろな薬物や化学物質、遺伝子異常などによっても糖尿病がおこります。
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5  糖尿病の症状
ほとんどの人に「症状が無い」のが糖尿病の恐ろしさです。血糖が大変高くなると「喉が乾いて」大量に水分を取るため、何回も「オシッコ」に行ったりします。またうまくエネルギーを作れませんので「疲れやすく」なったり、「体がやせてきたり」します。また糖尿病により神経がやられれば「足がしびれて」きたり、「立ちくらみ」が起こってきます。しかし症状が無いからと言って安心してはいけません。糖尿病によるいろいろな障害が陰で進行しているときが多いのです。
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