1  食事療法
2  運動療法
3  薬物療法



1  食事療法
糖尿病の治療の基本は「食事療法」です。運動療法や薬物療法をきちんと行っている人でも食事療法をいいかげんにしていると血糖コントロールはできません。
糖尿病の食事療法と聞くと「あれもこれも食べられない」「毎日カロリー計算をしなければならないし」と忙しい人や食事が生き甲斐の人には、到底出来ない難しい治療だと思っていませんか?また、家族に糖尿病の人がいるためにわざわざ別メニューを用意しなくてはならないと思ってはいませんか?それは「間違い」です。糖尿病の人が絶対に食べてはいけない物は、原則的には「ない」のです。「必要な物を必要な分だけバランスよく食べましょう」というのが「糖尿病の食事療法」なのです。つまり、糖尿病食は健康食なのです。ですから健康体である他のご家族の方が一緒に同じモノを食べることは、ご家族の体にとって良いことと言えます。では忙しくて「毎日カロリー計算が出来ない人」はどうしたらいいのでしょうか。もちろん毎食のカロリーをきちんと計算をしたほうが正確なコントロールが可能ですが、それに変わる方法もいろいろあるのです。これは糖尿病の治療全てに共通したことなのですが、その人個人に合った治療、「オーダーメイドの治療」が必要だと考えます。当院では、個人個人の体・生活環境などに合わせた完全オーダーメイドの治療を行っています。
運動療法__ 薬物療法__




2  運動療法
 運動の効果 
◎血糖を下げる効果があります
運動するときのエネルギー源としてブドウ糖が使われるため、血糖が下がります。また運動を定期的に続けるとインスリンの働きが良くなり膵臓から出るインスリンを節約出来るため、膵臓の負担が軽くなります。

◎血液中の油(脂質)を改善します。
糖尿病では、血液中の悪い油(=中性脂肪やLDLコレステロール)が多く、良い油(HDLコレステロール)が少ない人が多いのですが、運動は悪い油を減らして良い油を増やすので動脈硬化の予防に役立ちます。

◎体重が減ります。
肥満は糖尿病の大敵です。インスリンの働きを悪くし、心臓や膵臓や血管に負担をかけます。食事療法を十分に守り運動を行うことにより、筋肉を減らさずに体重を減らすことができます。

◎血圧を下げます。
無理のない運動を続ける事により血圧を下げることができます。
◎心臓や肺の働きを強くします。
足腰などの筋肉を鍛え、骨を丈夫にします。
◎血の流れを良くします。
脳や自律神経などの神経系を鍛えます。
◎ストレスを解消し気分転換に役立ちます。

 運動の方法 
糖尿病の運動療法として勧められているのは、20〜40分の少しだけ早足での散歩のような隣の人と話しながらできる程度の軽くて持続的な運動です。これを有酸素運動(=エアロビクス)といいますが、けっして「きつい」と感じるペースではありません。これを「ニコニコペース」といい、運動開始10分後の脈拍を目安に自分の行っている運動の強さを調べ、運動後の脈拍が自分の目標脈拍数より多いときには、運動の速度(=強度)を落とします。反対に運動後の脈拍が少ない場合は運動の速度(=強度)を上げます。そして10分後また脈拍をはかり運動の速度(=強度)を調整します。目標脈拍数(=運動強度)や運動の種類、週・日に何回運動したらよいかなどは、必ず医師と相談して決めましょう。
出来れば、糖尿病の運動療法に詳しい医師の受診が勧められます。運動を行う時間帯は夏は涼しい時に行い、冬は暖かい時間帯に行うようにし、薬物療法(=経口薬やインスリン)を行っている人は、食後1〜2時間行うようにしましょう。運動の前には十分に水分(お茶や水など)を摂り、運動中に脱水にならないようにしましょう。身体の筋肉を伸ばすなどの準備体操を行い、急に走り出すようなことは絶対にしてはいけません。
運動の後も突然に運動をやめるのではなく、徐々に運動の速度を落とすようにし、できれば整理体操を行うようにしましょう。運動を始めるときは軽い運動から始め、徐々に強い運動にするようにしましょう。また、服や靴は運動しやすいものを選びましょう。

 運動前後のチェック 
運動療法は糖尿病にとってとても有益な治療法ですが、全ての糖尿病の人が行えるわけではありません。人によってはかえって糖尿病のコントロールが乱れたり、合併症が進行したり、中には命に危険を及ぼすこともあります。運動療法を始める前には、必ず主治医のチェックを受け、自分の運動習慣、糖尿病のコントロール状態や治療法、合併症の状態などに応じた運動処方を出してもらいましょう。運動処方とは、
  1)運動種目:何をするのがよいのか
        →例 散歩、水泳など
  2)運動強度:どのくらいの強さでするのか
        →例 脈拍が1分間に110になる運動の強さ
  3)持続時間:1度にどれぐらい続けるのか
        →例 1回30分
  4)実施頻度:どれぐらいの頻度でするのか 週何回するのか
        →例 週5回
  5)時間帯 :いつするのか
        →例 夕食後1時間して運動を開始する

この5つの項目を基本に具体的に運動の方法を決定します。また、運動後も定期的に自分の体力や血糖コントロール状態や合併症の進行状態のチェックを受け、その時の自分にあった運動処方を主治医に出してもらいましょう。運動療法を行っている間に身体に何らかの不調が生じた時には必ず主治医に相談して下さい。自己判断は大変危険です。
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3  薬物療法
1  飲み薬による治療 
飲み薬による治療には大きく分けてスルホニルウレア剤(=SU剤)、速効型インスリン分泌促進剤、ビグアナイド剤、αグルコシダーゼ阻害剤、インスリン抵抗性改善剤などがあります。

a)スルホニルウレア剤(=SU剤)
主な働きは膵臓を刺激してインスリンを出させ血糖を下げます。ある程度インスリンを作る能力がないと効果がありません。主な副作用には低血糖があります。肥満のある糖尿病患者には、不適です。薬には、オイグルコン、ダオニール、パミルコン、グリミクロン、アマリールなどがあります。朝または朝夕、食前または食後に飲みます。
b)速効型インスリン分泌促進剤
主な働きは膵臓を刺激してインスリンを出させ血糖を下げます。ある程度インスリンを作る能力がないと効果がありません。a)のSU剤と比べ低血糖が多くありません。薬にはファスティック、スターシスなどがあります。食直前に飲みます
c)ビグアナイド剤
主な働きは糖の分解を促進することにより、血糖を下げます。主な副作用には、低血糖と乳酸アシドーシス(=血が酸性になり重篤になると命にかかわることもある)。薬にはメデット、グリコラン、メルビンなどがある。食後に飲みます。
d)αグリコシダーゼ阻害剤(=食後高血糖改善剤)
腸からの糖の吸収を遅らせることにより、食後の急激な血糖の上昇をおさえます。この薬単独では、低血糖を起こすことはほとんどありませんが、インスリンや他の糖尿病の薬と一緒に飲む時には、低血糖を起こすことがあります。低血糖を起こした時には、砂糖でなくブドウ糖を飲むか注射する必要があります。薬には、ベイスン、グルコバイなどがあります。食直前に飲みます。
e)インスリン抵抗性改善剤
インスリンの働きを良くすることによって血糖を下げます。肥満などインスリンの働きが低下した患者に良く用いられます。主な副作用には浮腫(=むくみ)などがあります。また類似薬で重篤な肝機能障害の報告があります。薬にはアクトスがあります。食後に飲みます。

2  インスリン 
インスリンは本来自分の身体で十分な量作られ、ブドウ糖が体の中でうまく利用されるように働きます。しかし自分の膵臓でインスリンを十分な量作れない場合インスリンを外から補います。「インスリンを使いだしたら、身体が怠けてしまい自分でインスリンを出さなくなり一生インスリンを使わなければいけない」とか「インスリンを打ち始めたらもうおしまい」と思っている人もいますが、これは明らかに「間違って」います。インスリンを使っても、血糖コントロールをきちんと行えば糖尿病でない人と同じように生活ができますし、むしろインスリンを打って自分の膵臓をしばらく休めてやると膵臓インスリンを出す機能が回復し、インスリン注射をやめることができる人がたくさんいます(当クリニックでは、インスリンを使用したヒトのほぼ半数がインスリンを中止可能な状態になります)。ですから必要な時期に必要な量のインスリンを注射することが最も大事です。また、自分の注射しているインスリンの名前と量は正確に覚えておきましょう。

a)超速効型インスリン
効果が大変速く現れる為、食直前に注射します。効果は4〜5時間続きます。薬はヒューマログがあります。

b)速効型インスリン
食前30分前に注射します。効果は注射後30分で現れ6〜8時間効果が続きます。薬にはペンフィルR、ヒューマカートR、ヒューマリンR、ノボリンR、ノボレットRなどがあります。

c)中間型インスリン
注射後1時間半で効果が現れ、1日中効果が持続します。薬にはペンフィルN、ヒューマカートN、ヒューマリンN、ノボレットNなどがあります。

d)混合型インスリン
速効型インスリンと中間型インスリンを混合したものです。注射後30分で効果が現れ1日中効果が持続します。薬にはペンフィル20R、ペンフィル30R、ペンフィル40R、ペンフィル50R、ヒューマカート3/7、ノボレット30R、ノボリン30Rなどがあります。
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